東京映画日記

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多大な犠牲を払って達成した月面着陸。何が彼らを駆り立てたのか?超人たちのお話です。映画「ファースト・マン」感想

映画「ファースト・マン」感想

多大な犠牲を払って達成した月面着陸。何が彼らを駆り立てたのか?超人たちのお話です。

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作品データ

原題 First Man 製作年 2018年 製作国 アメリカ 配給 東宝東和 上映時間 141分 映倫区分 G

スタッフ

監督 デイミアン・チャゼル
製作 ウィク・ゴッドフリー マーティ・ボーウェン アイザック・クラウスナー デイミアン・チャゼル
製作総指揮 スティーブン・スピルバーグ アダム・メリムズ ジョシュ・シンガー
原作 ジェームズ・R・ハンセン
脚本 ジョシュ・シンガー
撮影 リヌス・サンドグレン
美術 ネイサン・クロウリー
衣装 メアリー・ゾフレス
編集 ベン・クロス
音楽 ジャスティン・ハーウィッツ

キャスト

ライアン・ゴズリング ニール・アームストロング
クレア・フォイ ジャネット・アームストロング
ジェイソン・クラーク エド・ホワイト
カイル・チャンドラー ディーク・スレイトン
コリー・ストール バズ・オルドリン
キアラン・ハインズ ボブ・ギルルース
パトリック・フュジット エリオット・シー
ルーカス・ハース マイク・コリンズ
イーサン・エンブリー ピート・コンラッド
シェー・ウィガム ガス・グリソム
パブロ・シュレイ バージム・ラベル
クリストファー・アボット デビッド・スコット
スカイラー・バイブル リチャード・F・ゴードン・Jr
コリー・マイケル・スミス ロジャー・チャフィー
リビア・ハミルトン パット・ホワイト
クリス・スワンバーグ マリリン・シー

解説

ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督&主演ライアン・ゴズリングのコンビが再びタッグを組み、人類で初めて月面に足跡を残した宇宙飛行士ニール・アームストロングの半生を描いたドラマ。ジェームズ・R・ハンセンが記したアームストロングの伝記「ファーストマン」を原作に、ゴズリングが扮するアームストロングの視点を通して、人類初の月面着陸という難業に取り組む乗組員やNASA職員たちの奮闘、そして人命を犠牲にしてまで行う月面着陸計画の意義に葛藤しながらも、不退転の決意でプロジェクトに挑むアームストロング自身の姿が描かれる。アームストロングの妻ジャネット役に、「蜘蛛の巣を払う女」やテレビシリーズ「ザ・クラウン」で活躍するクレア・フォイ。そのほかの共演にジェイソン・クラークカイル・チャンドラー。脚本は「スポットライト 世紀のスクープ」「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」のジョシュ・シンガー

映画.com より引用


予告編

[鑑賞データ]

 

2/11(木)12:00 TOHOシネマズにてIMAX2D字幕版を鑑賞しました。

客席はほぼ満席でした。

テーマ「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。」

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映画.comより引用

 

hulu

ネタバレあらすじ・感想

※ネタバレはもちろんIMAX上映の演出方法に関するネタバレも含まれていますのでお気をつけください。

概要

ソ連に当時負けまくってた宇宙開発でアメリカの威信をかけて挑んだ月面着陸の話。
この話って結構陰謀論で本当は月には行ってなくて、スタジオで撮影されたものだって言う説があったり、テレビで特集されたりしてましたがなんで一時期そんな話が出たんだろう?
映画的にはデイミアン・チャゼルなので、かなりエモいラストがあるんじゃないかと予想してましたが、結構そこは音楽的には抑えめだった印象。でも、当時のロケットが宇宙に行く時や大気圏に突入する時の金属の軋みとか主人公たちの鼓動とかが、結構怖くて「死と隣り合わせ」感がとても伝わってくる映画でした。
奥さん役のクレア・フォイもこないだ「蜘蛛の巣を払う女」で観たばっかですが、今回は超人的な夫を持つ妻の役を好演していました。

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映画.comより引用

蜘蛛の巣を払う女」の僕の感想はこんな感じ

ネタバレあらすじ

お話は空軍でテストパイロットをやっているニール・アームストロングライアン・ゴズリング)は新型機のテストを行っています。
想定通りの動きをしない新型機は大気圏の外でトラブルに見舞われ、完全なる静寂から、いきなりの轟音とともに大気圏突入しますが、なんとかニールが制御し無事着陸します。
無茶をしがちで安定しないニールの操縦技術は、空軍の中では懐疑的に捉えられていました。
時はアメリカとソ連の冷戦期、宇宙開発競争で遅れをとっているアメリカは人類初めて月面に人を着陸させ帰ってくると言う、のちの「アポロ計画」につながる「ジェミニ計画」を立ち上げ宇宙飛行士を募集します。
ニールは周囲から応募しないのか?と言う問いをされますが、曖昧な返事を返します。彼はおそらく応募したかったのですが、気がかりがありました。
それは末娘のカレンが悪性腫瘍で闘病中だったためです。
あまり感情を表に出さないニールは、同僚はおろか家族である妻ジャネット(クレア・フォイ)でさえあまり何を考えているかわからない人物ですが、確実に家族を愛していたので自分のことより娘の治療を優先したのです。
しかし、その願いも虚しく、幼いカレンは亡くなってしまいます。
ひとしきり泣いたあと、その悲しみを振り払うようにNASAに応募しパイロット候補の一人として見事パスします。
早速NASAの近くに家族とともに引っ越して、訓練が始まります。
訓練は重力に耐えるなどのフィジカル訓練もあれば、専門知識を学ぶ学習などあり、過酷そのものです。また閉鎖空間に長時間いなければいけないのでコミュニケーション能力や常に冷静でいることなどは欠かせません。
次第に訓練生の中で友情が育まれていきます。特にエドとは妻同士が仲良くなったこともあり、付き合いは家族ぐるみになりました。
そんな中、ある衝撃的なニュースが飛び込んできます。
それはソ連が宇宙空間での船外活動に成功したと言うニュース、つまりまたしても宇宙開発競争でソ連に遅れをとってしまったのです。このままでは月面着陸も先にソ連に達成されてしまう。。
訓練生の間でも微妙な空気が流れました。
プレッシャーの中、訓練は続きますがニールが仲良くしていた訓練生の一人エリオットが訓練中の事故で亡くなってしまいます。
周囲が悲嘆にくれる中エリオットの葬儀中になくした娘カレンの姿を思い出し、生と死の狭間にニールの心は揺れ動きます。
それでも、アメリカの威信をかけたプロジェクトなので、計画は続きます。ニールはついにジェミニ8号の船長を命じられます。
これは打ち上げた宇宙船を宇宙空間でドッキングさせるという計画です。
当時の技術では月まで行ける燃料を1台のロケットに詰むことはできなかったので、2台打ち上げて宇宙空間でドッキングさせる必要があったのです。
この計画はすんなりとはいかず、命の危険までありましたがなんとか成功しニールたちは無事帰還することができました。
ジェミニ計画の成功により、いよいよアポロ計画が進められることになります。
しかし、なかなか思うように進まない宇宙計画に、懐疑的な意見を持つ人々が増えてきています。
そんな中、アポロ1号の船長にはエドが選ばれることになります。ニールも素直にエドが船長になることを喜びました。
全ては順調に進んでいると思われた矢先、この計画最大の悲劇が起こります。
発射前のチェック中に突然船内が炎に包まれエドと二人の乗組員は死亡してしまいます。
この事故を受けて世間の批判の声は高まるばかり。地上では貧困があり、差別があり苦しんでいる人が多くいるのに宇宙開発に多額のお金を使う意味はあるのか?そのような非難がこの計画に向けられてしまいます。
また、世間のバッシングは当事者の家族にまで向けられてしまい、ニールはジャネットとの関係も悪化します。
しかし、計画に携わる人々には信念がありました。
そして、ついにアポロ11号の打ち上げが決まり、その船長としてニールが選ばれます。
ジャネットは父親をなくしたエドの子供を見ていると、自分の子供もこうなってしまうのではないかという不安に襲われます。
出発の前日になってもニールは息子たちに自分は「宇宙に行く」「帰ってこれないかもしれない」ということを言いません。業を煮やしたジャネットは自分でちゃんと話してと詰め寄ります。
ニールはそれに従ってそのことを告げます。
打ち上げ当日アポロ11号に乗るのはニール・アームストロング、バズ・オルドリン、マイク・コリンズの3名です。
家族、犠牲になった仲間、世間の期待、バッシングなど様々な思いを乗せてアポロ11号は打ち上がりました。
無事ドッキングに成功すると、美しい地球そして月が見えます。
そして、ギリギリのエネルギーでなんとか月に到着し、降り立ちます。月からみる地球は大きくとても美しいものでした。
そこであの有名な言葉「That's one small step for [a] man, one giant leap for mankind.(これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。)」が登場します。
3人は無事帰還し、ここに人類初の月面着陸は成功に終わりました。

IMAX上映で観たファースト・マン

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imdbより引用

前作「ラ・ラ・ランド」は結構楽しんだし、その前の「セッション」はかなり楽しんで観た「デイミアン・チャゼル作品」しかも宇宙の話だし、「インターステラー」とか「ゼロ・グラビティ」みたいな壮大な宇宙空間が拝める作品だとしたら絶対IMAXで見た方がいいはずなので、IMAXでぜひ観たいと思ったのでみてみたら、画面の上と下が切れているし、映像もなんだか打ち上げ当時の映像のようにザラザラとした質感のフィルムっぽい質感の映像だったので、「別にIMAXでわざわざ観なくてもよかったな」なんて思っていたら、月面着陸シーンでドーンとスクリーンの上から下までのクリアな映像が登場して、驚きましたよ。
なので、IMAXで観れる方は是非IMAXで観た方が、感動が1.5倍増しになると思いますよ。

ギシギシ鳴る金属音がかなり怖い

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映画.comより引用

かなり怖いなと思ったところが、ほとんど誰も行ったことがないところ(宇宙)に出来たばかりの技術で、しかも高速でなおかつ死ぬ確率が高いというところに行ったら、乗ってる乗り物がギシギシ鳴り出して計器の数値も芳しくないという状況はめっちゃ怖いし、並みの人間ならまずパニックに陥ると思う。
高速道路で車がギシギシいうのとはわけが違うんだから。。
これ、どこかで味わったことがあるなぁと思っていたら、思い出したのがこれでした。

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まとめダネ!より引用

三重県長島スパーランドという遊園地にかつてあった「ホワイトサイクロン」という木製コースターです。(2018年1月28日に惜しくも営業終了したみたいです。) これ、結構揺れて怖かったんですよねぇ。。
まあ規模は全然違うんですが、このコースターで半泣きになっているような僕には宇宙飛行士になるなんて絶対に無理ですねー。。

ドッキング時の音楽

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imdbより引用

宇宙モノといえばドッキングというくらいいろんな作品に出てきていると思うんですが、この作品のドッキングシーンで流れている音楽は、テルミン音楽だったと思いますが、多分2001年宇宙の旅の「美しき青きドナウ」が流れていたドッキングシーンのオマージュなんじゃないかと思います。

ニール・アームストロング氏のあの言葉

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映画.comより引用

あまりにも有名なこの言葉「That's one small step for [a] man, one giant leap for mankind.(これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。)」ですが、音声で聞くと[a]が聞こえないから、言い間違えたっぽくて、[a]を抜くと「これは人類にとって小さな一歩だが、人類にとっては偉大な跳躍である」となるらしいので、意味わかんないですよね。 まあ、極度の緊張と興奮で舞い上がっちゃっていい間違えていたとしても不思議ではないですよね。 でも、この場面でこんなミスするって正直「持ってない」ですね笑。もちろん凄い偉業を成し遂げた凄い人ではあるんですが。

関連

この映画の後の話なんですが、これもめちゃ面白いですよ。100円で観れます。

 

このジェミニ計画の前にマーキュリー計画というのがあって、それを描いた映画がこれです。アメリカの超凄い女性が活躍する映画です。199円で観れます。

 

僕が好きなライアン・ゴズリングつまりBEST ゴズリングはこれです。

 

 

まとめ

個人的な思いとしては、ソ連との意地の張り合いよりももっと大切なことはある気もしますが、きっちり初志貫徹したところに彼らの男気を感じますね。
いろんなものを犠牲にして果たした偉業は、今後人類にどんな恩恵をもたらすのでしょうか?

オススメ度

(★★★)3/5

デイミアン・チャゼル作品が好きな人
・何かを作っている人
・作家を目指している人