映画「THE GUILTY ギルティ」感想
映画「THE GUILTY ギルティ」感想
電話の向こうの音だけで推理するワンシチュエーションサスペンスです。まずネタバレ読まずに映画を観てください。
作品データ
原題 Den skyldige 製作年 2018年 製作国 デンマーク 配給 ファントム・フィルム 上映時間 88分 映倫区分 G
スタッフ
監督 グスタフ・モーラー
製作 リナ・フリント
脚本 グスタフ・モーラー エミール・ナイガード・アルベルトセン
製作総指揮 ヘンリク・ツェイン
撮影 ジャスパー・J・スパニング
編集 カーラ・ルフェ
音楽 オスカー・スクライバーンキャスト
ヤコブ・セーダーグレン アスガー・ホルム
イェシカ・ディナウエ イーベン
ヨハン・オルセン ミカエル
オマール・シャガウィー ラシッド解説
電話からの声と音だけで誘拐事件を解決するという、シンプルながらも予測不可能な展開で注目され、第34回サンダンス映画祭で観客賞を受賞するなど話題を呼んだデンマーク製の異色サスペンス。過去のある事件をきっかけに警察官として一線を退いたアスガーは、いまは緊急通報指令室のオペレーターとして、交通事故の搬送を遠隔手配するなど、電話越しに小さな事件に応対する日々を送っている。そんなある日、アスガーは、今まさに誘拐されているという女性からの通報を受ける。車の発進音や女性の声、そして犯人の息づかいなど、電話から聞こえるかすかな音だけを頼りに、アスガーは事件に対処しなければならず……。
映画.comより引用
予告編
[鑑賞データ]
2/22(金)20:20 ユナイテッドシネマとしまえんにて字幕版を鑑賞しました。
客席は8割くらいでした。
テーマ「誰の罪か」
映画.comより引用
ネタバレあらすじ・感想
昨年観た「Seach」のような感じで、警察の緊急緊急通報指令室の電話オペレーター室のみで描かれるワンシチュエーションサスペンスでした。
サーチの僕の感想はこんな感じです。
※基本いつも通りネタバレ全開スタンスですが、この映画のどんでん返しの性質上、オチを知ってしまうとこの映画の魅力が半減してしまうので、この映画をこれから観ようと思っている人は映画を観てから読んでください。
ネタバレあらすじ
お話は仕事上のトラブルで現場からは外されて、ペナルティ的な意味合いで電話オペレーターの職場に回されている主人公の警察官アスガー(ヤコブ・セーダーグレン)。
ほとんどがしょうもないことで電話をかけてくる酔っ払いや、頭のおかしい奴の相手も明日になれば相棒の証言でまた第一線に戻れるはずの最終日のことです。
あと少しでこの職場での仕事も終わりというときに受けた電話は、イーベンと名乗る女性からの電話で、誘拐されている真っ最中の電話でした。
イーベンは子供と会話をしているふりをして電話を続けて、なんとか情報をアスガーに伝えます。
携帯電話の基地局からおおよその位置は掴めるのですが、完全にはわからないため付近を管轄する署に電話をかけて急行できるように情報を伝えますが、管轄の担当官は極めて事務的です。
またイーベンとの会話に戻り、話の流れから、連れ去ったのは夫のミケルということがわかってきます。
ミケルには犯罪歴があり、イーベンとは別居していました。
イーベンの住所を見つけることに成功したアスガーは、家に電話してみると小さな女の子が電話に出て父親ミケルが母親イーベンを連れ去ったことを告げます。
さらに小さい弟がいることがわかったので、警官が来るまで弟のそばにいるように女の子に言います。
現場へ警官を向かわせ無事イーベンの娘を保護しますが、奥の部屋へ踏み込むと惨殺された弟の遺体を発見しました。
ミケルには誘拐容疑に加え殺害容疑も加わることになりました。
さらにミケルの家もわかったので、前線にいたときの相棒ラシッドに向かわせます。
ミケルの家に着くと中はもぬけの殻です。ラシッドに中を捜索するように依頼しました。
遺体が見つかったことで自体はより深刻になりました。イーベンを一刻でも早く救出しなければならないと感じたアスガーは、車が高速走行中であることを確認するとシートベルをしてサイドブレーキを引くことをイーベンに実行させます。
電話が途切れましたが、数分後泣きながらイーベンからの着信が入りトランクに押し込められたということを伝えられます。事態は切迫しています。
ラシッドからの着信で、イーベンが精神病院に入っていたことがわかります。そして二人を乗せた車はその方面に向かっていることがわかります。
今度はイーベンに武器を探すようにいうとトランクにレンガがあることがわかりました。そこで、そのレンガを使ってトランクが開いた瞬間攻撃して逃げるように言います。
車が止まりトランクが開かれイーベンは実行します。
又しばらく通話が途切れます。
しかし衝撃の事実が判明します。子供を殺し、母親まで殺そうとしていた夫というのはアスガーの思い込みでした。
実際子供を殺したのは精神を病んでいたイーベンで、元夫ミケルは子供を残された子供を守るためイーベンを再び精神病院に入れようとしていたのです。
次に繋がった時にはイーベンは一人で陸橋の上でした。今まさに飛び降りようとする時にアスガーは自分の秘密をイーベンに告白します。通話は再度途切れますが、イーベンを保護した警官から無事であることを告げられます。
アスガーは皆に本当のことをいうことを決意しました。
主人公に向けられる意識づけ
映画.comより引用
観客は映画を見る際に、主人公は善玉であるという固定観念を持って観ることが多いと思います。
だから、今回のような映画で観客はアスガーとイーベンに肩入れして観てしまいがちですが、実際はアスガーもイーベンも精神に問題を抱えています。
ただ、観ているとアスガーはかなり短気な人物であることがわかる描写が多々ありますし、同僚には横柄な態度をとっています。
観客はアスガー視点でこの映画を観ることになりますので、管轄の電話オペレーターの態度も冷たい印象を受けますが、よくよく考えてみれば事態に冷静に対処しようとしているのは先方で、こちらはイライラしたり、私情をはさみまくっているので問題があるのは明らかにアスガーということになります。
あと、人質に「サイドブレーキを引け」とか「レンガで攻撃しろ」とか多分実際の現場では絶対あり得ないですよね笑
視点によってキャラクターが与える印象が変わるというのはこの映画を観ていて面白いところですね。
固定観念を利用したシナリオ
映画.comより引用
これもそうなんですが、基本的に家庭内の問題は男の方が起こすものというイメージが引き起こす思い込みってどうしてもあると思います。しかもこの映画の話は前科持ちの夫ですからね。
でも、世界はそんな単純じゃないし如何に思い込みや決めつけが良くないかがわかりますね。
関連
電話でずっとやり取りするというワンシチュエーションものだと、ストーリーは全然違いますがこの映画も面白いですよ。こっちは棺桶の中ですけどね。ライアン・レイノルズが出てるのもポイントです。
こっちはスリラーですね。
北欧映画のサスペンスでこれも面白いです。バディもので推理ものですけどね。
まとめ
ワンシチュエーションで時間もタイトなので観やすいサスペンスだったと思います。日本でもこんな映画結構量産してほしいですね。
オススメ度
(★★★★)4/5
こんな人にオススメ
・サスペンスが好きな人
・会社に秘密を持っている人
・英語圏以外の面白映画を探している人