東京映画日記

主に映画のレビューについて書きます。

映画「ROMA/ローマ」感想

映画「ROMA/ローマ」感想

誰にでも進められる、生きることとか人への気持ちとか色々考えさせられる映画です。

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作品データ

原題 Roma 製作年 2018年 製作国 メキシコ・アメリカ合作 上映時間 135分

スタッフ

監督 アルフォンソ・キュアロン
製作 ガブリエラ・ロドリゲス アルフォンソ・キュアロン ニコラス・セリス
製作総指揮 ジェフ・スコール デビッド・リンド ジョナサン・キング
脚本 アルフォンソ・キュアロン
撮影 アルフォンソ・キュアロン
美術 エウヘニオ・カバレロ
衣装 アンナ・テラサス
編集 アルフォンソ・キュアロン アダム・ガフ

キャスト

ヤリッツァ・アパリシオ クレオ
マリーナ・デ・タビラ ソフィア
マルコ・グラフぺぺ
ダニエラ・デメサソフィ
カルロス・ペラルタパコ
ナンシー・ガルシアアデラ
ディエゴ・コルティナ・アウトレイToño
ジョージ・アントニオ・ゲレーロフェルミ

解説

ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロン監督が、政治的混乱に揺れる1970年代メキシコを舞台に、とある中産階級の家庭に訪れる激動の1年を、若い家政婦の視点から描いたNetflix製ヒューマンドラマ。キュアロン監督が脚本・撮影も手がけ、自身の幼少期の体験を交えながら、心揺さぶる家族の愛の物語を美しいモノクロ映像で紡ぎ出した。70年代初頭のメキシコシティ。医者の夫アントニオと妻ソフィア、彼らの4人の子どもたちと祖母が暮らす中産階級の家で家政婦として働く若い女クレオは、子どもたちの世話や家事に追われる日々を送っていた。そんな中、クレオは同僚の恋人の従兄弟である青年フェルミンと恋に落ちる。一方、アントニオは長期の海外出張へ行くことになり……。2018年・第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で、最高賞にあたる金獅子賞を受賞。第91回アカデミー賞でも作品賞を含む同年度最多タイの10部門でノミネートされ、外国語映画賞、監督賞、撮影賞を受賞した。

映画.comより引用

予告編

[鑑賞データ]

2/24(日)11:00くらい NETFLIXにて字幕版を鑑賞しました。

テーマ「大人の世界/ありがとう」

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映画.comより引用

 

hulu

ネタバレあらすじ・感想

夏に野球(読売主催試合)を見られるという理由でVODサービスはhuluを選択しているんですが、ムービー・ウォッチメンの課題映画になってしまったんでね。NETFLIXに緊急加入して鑑賞することにしました。
とんでもなく美しくていい映画でしたよ。
アルフォンソ・キュアロン監督の少年時代の自伝的な映画ですが、主人公はその家で働いている原住民系の女性家政婦のクレオ(ヤリッツァ・アパリシオ)です。
第91回アカデミー賞で監督賞、撮影賞、外国語映画賞の3つを受賞しましたね!



ネタバレあらすじ

お話は1971年のメキシコシティのコロニア・ローマに住むある医者の家庭(旧宗主国系の白人)。やんちゃな子供たちと少しヒステリックな母ソフィアとの軋轢もありますが、淡々と日々を過ごしています。
家政婦の1日は大変で朝早く目覚めると、朝食を用意し子供たちを起こして回ります。
長男、次男、長女に朝食を食べさせて送り出すと、今度は三男と父親に朝食を配膳します。
綺麗で大きい家ではありますが人手が足りていないのか、玄関先には犬の糞がしょっちゅう落ちて父親がそれを踏んづけてしまい、母がクレオを叱りつけます。
そしてベッドメイキングや掃除洗濯、夕方には子供達を迎えに行くなどやることはたくさんあります。
夜は、いつまでも明かりをつけているとソフィアに怒られるので、アデラと一緒に体操をして寝ます。
子供達はクレオにとても懐いています。
父親はまた出張に出かけて行きました。
休みの日、同僚のアデラとともにダブルデートに出かけます。クレオの相手はアデラの彼氏ラモンの従兄弟のフェルミンです。
アデラたちと一緒に映画館へ入ろうとすると、お金のないフェルミンは晴れているし公園にでも行こうといい出しますが、雨が降ってきてフェルミンの部屋に行くことになります。
習っている武術を全裸で披露し夢を語るフェルミンにあまりよくはわからないですが、大変な毎日で若いクレオは自分に女性として関心を抱いてくれるフェルミンに惹かれて行き体を重ねます。
後日クレオに妊娠の兆候が現れると、そのことを映画館で映画を観ているときにフェルミンに打ち明けます。しかし一瞬喜んだようなリアクションでしたが、トイレへ行くと言ってそのまま行方をくらましてしましました。
心配はそれだけではありません。もし妊娠が発覚したら仕事を失ってしまうかもしれません。しかし、隠しておくことはできないのでソフィアに妊娠したかもしれないことを打ち明けます。そしてクビになりますか?と聞いてみます。
するとソフィアは「クビなんてとんでもない。でも、病院で診断してみなくてはね。」と後日ソフィアの運転で病院へ行きます。
結果としては妊娠三ヶ月でした。ソフィアは知り合いの医者と何やら立ち話をしていて、新生児室を見てくれば?と言ってきたので三階の新生児室に行って他人の赤ん坊を見ていると急に大きな地震が起こります。崩れた天井のかけらが保育器に落ちてきますが、病院の赤ん坊たちは難を逃れます。
一方ソフィアの方は夫が出張から戻ってこないのは長引いているからだというのは子供に対する建前で、夫が浮気をしているということをつかんでいました。しかしそれを子供たちに悟られまいと伏せていました。
夫は戻ってきませんが新年が近づいていたので、親戚同士の集まりが田舎の農場で開かれます。そこへ子供たちとクレオを連れて出かけます。そこにも原住民系の家政婦がいてクレオとも顔なじみで、妊娠したことを祝ってくれました。
ソフィアの夫婦関係はすでに親戚の中で伝わっていて、酔っ払ってソフィアに近づいてくる男性もいましたがそれを拒否しました。
その夜山火事が起こりましたが、それも祭りの一部のような騒ぎでした。
一家は自宅に帰ってきましたが、夫は不在のままお金の心配も出てきました。夫は仕送りもしなくなっていたのです。そのことを隠れて電話で話していると部屋の外では次男のパコが盗み聞きしていました。それをみたソフィアはパコを平手打ちし近くにいたクレオになぜ立ち聞きさせたの?と叱責します。そしてパコには他の兄弟には秘密にするように言います。
クレオは生まれてくる子供を一緒に育てて欲しいという思いがあったのか、フェルミンの居場所をラモンから聞き出し、武術訓練の場所まで行きます。
訓練が終わるとフェルミンにあなたの子供がもうすぐ生まれるのよと伝えます。
しかしフェルミンはそんなわけないと取り乱し、「俺の元から去らないと、お前も子供も殺す」と恫喝します。
仕方なくクレオは家に戻ってきます。
出産予定日が近づいてきたクレオは祖母とベビーベッドを見にやってきます。
街ではデモが行われていて、とりわけその日のデモは激しいように見えます。
すると、家具店に突然逃げ込んできた人がいて後ろから追ってきた青年たちに射殺されました。
そして銃口クレオたちにも向けられます。拳銃を持っていたのはフェルミンでした。フェルミンはその場を去りましたが、そのショックでクレオは破水してそのまま病院に担ぎ込まれました。
主治医が到着し、そのまま分娩室に運び込まれますがお腹から子供の心音が聞こえません。それでも赤ん坊を取り出すと心停止した状態でした。
緊急蘇生術を施しますが、その甲斐なくそのまま赤ん坊が泣きだすことはありませんでした。
しばらくクレオは赤ん坊を抱かせてもらいましたが、引き離され赤ん坊は白い布で包まれました。
後日家に戻ったクレオは死産だったショックで、部屋で意気消沈しています。
周りも気を使って声をかけるのですが、心ここに在らずといった様相です。
するとソフィアがコンパクトな車で帰ってきました。
駐車スペースがギリギリの幅の夫のギャラクシーを売り飛ばして、新しくこの車にしようと言いました。そして売る前にギャラクシーに乗って最後の旅行に出かけようと言い出しました。
そして、クレオに休暇ということで一緒に家族として旅行に行こうと提案しました。最初は渋っていたクレオですが、子供たちに一緒に行こうとせがまれたので一緒に行くことに決めました。
海に着くと子供たちははしゃいで遊びまわり、ました。娘のソフィはクレオにも海へ入ろうとせがみますが、クレオは泳げないので近くで見ていると言いました。
その夜はレストランに皆で行きました。
食事の最後にソフィアがお父さんはもう帰ってこない。この旅行もお父さんが自分のものを家から持ち出している間、家に誰もいないようにするために企画した旅行だということを打ち明けました。そして、お母さんは働きに出るし、みんなで頑張ろうと明るく宣言します。
子供たちはショックを受け、落ち込みながらアイスを食べている横では結婚式が行われています。
翌日は旅行最終日です。子供たちはまた海に来てはしゃいでいました。
ソフィアは車を点検するために長男と車の場所まで行くので、波打ち際までしか行っちゃダメよと言いつけ二人でビーチを離れます。
末っ子のぺぺは少し離れたところに戻ったのでクレオも少し海から離れると、パコとソフィは言いつけを破り沖へ行って波に飲まれてしまいます。
クレオは泳げませんが、歩いて助けに行きます。波に飲まれる三人が姿を消します。


しかし、また三人は姿をあらわしなんとか岸までたどり着きました。異変に気がついたソフィと長男、ぺぺが駆け寄り全員で抱きしめ合います。
その時クレオは「生まれてこないで欲しかったの」と初めて本心を打ち明けます。ソフィアは「私たちクレオが大好きよ」となんども言い家族は抱きしめ合いここに絆が深まりました。
家に帰ると、本棚が消えて中に入っていた本が床に山積みにされています。
クレオに助けてもらったことを子供たちは祖母に話し、部屋が変わったとはしゃぎます。
クレオは自分の部屋に荷物を運び、またいつもの日常が始まります。

死の匂いを連想させるカット

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映画.comより引用

全編白黒のモノトーンでとても美しい映画なのですが、時折死を連想させる不吉なカットが入ります。
冒頭パコとぺぺがおもちゃの銃で撃ち合いをしていると、ぺぺが打たれたと言って死んだふりをします。それに合わせてクレオも仰向けに横たわって死んでいるのも悪くないわねというシーンがあります。
また、新生児が地震に遭って保育器に破片が散らばるシーンの後に3つの墓標がアップになるシーンがあります。
これはその後の悲劇につながることを連想させます。
さらに海のシーンでは波に飲まれるのが三人だったので、本当に怖かったです。助かって本当に良かった!

飛行機が上空を飛んでいるカット

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映画.comより引用

飛行機がゆっくり上空を飛んでいるカットというのもいくつかありますね。
最後のシーンに「リボへ」という文字がクレジットされますが、これは監督が少年時代に家で家政婦をしていたリボという女性で、クレオのモデルとなった女性です。
この女性はもうご存命ではないようなので、天国にいるリボさんへお手紙を出しているイメージなんじゃないかなと思っています。

基本的に男はクズな描写が多い

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imdbより引用

基本的に、子供の視点で描かれている映画なのでいつも自分たちの相手をしてくれたり、世話を焼いてくれるのは女性たちで、男たちは好き勝手やっていばり散らしている怖くて嫌なやつという子供的な視点で描かれているのが面白いですね。
まあ、フェルミンがやることは笑えないしとてもひどいですけどね。

辛いことがあっても世界は続いている

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imdbより引用

印象的なのがこのシーンで、一家離散の話をしている主人公たちの傍らでは二つの家族がくっつく結婚式をやっているという描写です。
本人たちが喜ぼうと悲嘆に暮れようと世界は勝手に続いていくという描写ですね。こういう表現はすごく好きですね。

中絶という選択がなかった理由

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imdbより引用

これに関してあれ?ってちょっと思ったのが、少しも中絶という話が出てこなかったからなんですが、調べてみるとメキシコって人工中絶が違法なんですね。だから選択肢としてすら出てこなかったという。。
レイプ被害者の中絶は大丈夫になったみたいなんですが、それも最近みたいでそういう話を聞くといろんな考え方があるんだなと思いますね。

関連

アカデミー賞では外国語映画賞を争いましたね。

 

アルフォンソ・キュアロン監督の作品ですがIMAXで観たい作品ですね。

 

カメラの動きとか似てる気がするんですよね。

 

 

まとめ

これ、絶対劇場で観たいやつですね。また自分にとって大事な映画が増えました。

オススメ度

(★★★★★)5/5

こんな人にオススメ

・白黒映画が好きな人
・ノスタルジーに浸りたい人
・子供時代の大事な人を思い出したい人