東京映画日記

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アメリカの今は明日の日本の状況につながるかもしれない。移民政策が向かう先は差別大国?映画「華氏119」感想

映画「華氏119」感想

アメリカの今は明日の日本の状況につながるかもしれない。移民政策が向かう先は差別大国?

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hulu

作品データ

原題 Fahrenheit 11/9 製作年 2018年 製作国 アメリカ 配給 ギャガ 上映時間 128分 映倫区分 G

キャスト

監督 マイケル・ムーア
製作 マイケル・ムーア カール・ディール メーガン・オハラ
製作総指揮 バーゼル・ハムダン ティア・レッシン
脚本 マイケル・ムーア
撮影 ジェイミー・ロイ ルーク・ガイスビューラー
編集 ダグ・エイベル パブロ・プロエンザ
字幕監修 池上彰

キャスト

マイケル・ムーア
ドナルド・トランプ
バーニー・サンダース

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解説

アメリカの銃社会に風穴を開けた「ボウリング・フォー・コロンバイン」や医療問題を取り上げた「シッコ」など、巨大な権力に対してもアポなし突撃取材を敢行するスタイルで知られるドキュメンタリー監督のマイケル・ムーアが、アメリカ合衆国第45代大統領ドナルド・トランプを題材に手がけたドキュメンタリー。タイトルの「華氏119(原題:Fahrenheit 11/9)」は、トランプの大統領当選が確定し、勝利宣言をした2016年11月9日に由来。ムーア監督の代表作であり、当時のジョージ・W・ブッシュ政権を痛烈に批判した「華氏911Fahrenheit 9/11)」に呼応するものになっている。16年の大統領選の最中からトランプ当選の警告を発していたムーア監督は、トランプ大統領を取材するうちに、どんなスキャンダルが起こってもトランプが大統領の座から降りなくてもすむように仕組まれているということを確信し、トランプ大統領を「悪の天才」と称する。今作では、トランプ・ファミリー崩壊につながるというネタも暴露しながら、トランプを当選させたアメリカ社会にメスを入れる。

映画.comより引用


予告編

[鑑賞データ]

11/15(木)21:15 TOHOシネマズ錦糸町にて字幕版を鑑賞しました。(1ヶ月フリーパスポート使用なのでダータで鑑賞)

客席は1割いないくらいガラガラでした。

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テーマ「How the fuck did this happen?」

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映画.comより引用

 

hulu

あらすじ・雑感

基本的にマイケル・ムーア作品は、時事性が強いし、「だから日本はダメなんだよー、こういうのはアメリカでは〜」的なものしりマウント(人に嫌われるやつですね)を取るのに非常に便利な知識を得られるので、できれば公開時に見るべきだと思い、今回もそのようにしました。
字幕監修が池上彰さんというのも興味深いですね〜。劇中ファックとかシットとかかなり使われていましたが、綺麗な言葉に訳されていたような気がします。

 

雑にあらすじを書いておくと、2016年アメリカは初の女性大統領誕生間近で湧いていました。名だたるアーティストはヒラリー・クリントンを讃える選挙キャンペーンに参加し、ヒラリーを応援する女性市民は涙を流しながらその時を固唾を飲んで待っていました。
一方対立候補であるトランプ陣営は、お葬式のような雰囲気で皆暗い表情を浮かべ、もう負けを悟ったような態度でいました。
しかし、ついに事は起こってしまったのです。
次々と速報でトランプが各州の票を取って行くのです。
そして、ついに絶対負けるはずのなかった選挙でヒラリーは敗北し、エンパイア・ステートビルディングに高々と新大統領ドナルドトランプの肖像が映し出されたのです。

How the fuck did this happen?
どないなっとんねん?


なぜトランプが大統領になったのか?という疑問からアメリカの問題点、マイケルムーア監督の地元ミシガン州フリントの惨状、そしてアメリカの政治腐敗までを暴く内容でした。

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公式youtubeより引用

トランプが「俺は大統領になる!」「公約はxxx(差別的な内容)だ!」と口から出まかせを行った結果、思いのほか人が集まっちゃって「あれ?俺って結構人気者じゃね?」となったことや、ミシガン州のスナイダー知事の政治手法が「あれ?これって俺も出来るんじゃね?」って思ったことから始まるんですが、結局トランプが主張する内容は前までの政権が作った不満や不備を吸い上げそれを極端な方法で解決すると主張することで成り立っているので、基本的に本人に主義主張なんてものはほぼないんです。
詳しくは映画を観てもらいたいのですが、とにかく全員悪人すぎて笑えないんですよね。。。
そして、保守的な人はやっぱり差別的な人が多くなってしまうのか、差別的な主張が多いように思います。(この映画では)
その嫌悪感や不満などを吸い上げる形で、トランプが台頭して行く様は映画でも描かれていましたが、ヒトラーのナチ政権誕生の時と酷似しているとこの映画では描いています。確かに似ていますね。

 

 

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公式youtubeより引用

そしてこの映画では共和党(保守寄り)であるトランプが大統領になった原因の一つは、民主党(リベラル寄り)がだらしなさすぎたことが原因だと主張しています。
マイケル・ムーア自身はとてもリベラルな人だし、映画でも主張するように多人種他民族国家であるアメリカはとてもリベラルな人が多い国なんですが、支配者層は保守的な人が多いし、その既得権益があまりにも大きいことが問題とこの映画は主張しているんだと思います。

この映画が主張する既得権益層の問題点(間違ってたらすみません)
・知事自らの私服を肥やすために、必要のない公共事業。(引くほどの人災が起きてます。)
・選挙人は既得権益層のためバーニー・サンダースはヒラリーに勝てなかった。
全米ライフル協会RNA)の票を捨てる選択を取れる議員がいない。

特に期待されていたオバマがかなり期待はずれだったことで、今回の大統領選はとても低い得票率になり、しかも本当に生活に困窮している人ほど投票に行っていなかったそうです。

 

 

でも、そんな中にも光はあって、今回投票に行かなかった支持政党がない人(まとまれば最大派閥)の中から議員に立候補する人が出てきたことや、マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で起きた乱射事件に端を発した、エマ・ゴンザレスを中心とする高校生のデモなど、既得権益層がついてきた嘘を暴いて、「これっておかしくない?」ということを堂々と主張する流れになってきているのが救いですね。(ここ泣けます)

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公式youtubeより引用

この層はSNSなどと親和性が高いので、今後はよりSNSをうまく使えることも重要になりそうですね。(まあもうなってるか。。)

 

 

また、深刻な話ばかりじゃなくて、マイケル・ムーア独特のユーモアも多く入っているで笑えるところもたくさんありましたよ。

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映画.comより引用

関連

マイケル・ムーア前作。アメリカ以外の国は税金をどう使っているのかをアメリカ人に教えるための映画。面白いです。アマゾンプライム会員なら無料で見れます。

 

華氏119でも言及されていましたが、トランプ大統領の登場ってこの人が出てきた状況と似てる気がするんですよ。アマゾンプライム会員なら無料で見れます。

 

大統領の陰謀を暴くといったらこれですね。

 

まとめ

個人的にはリベラルも保守もいいところと問題点を抱えていることは事実だと思うので、うまいバランスを取れる世の中になればいいなぁと思った次第であります。
ちょっとリベラル方向から見た意見が多い映画だとは思いますが、これってもし日本が移民政策を取ったりしたら絶対日本にも出てくる問題だと思うので、今のうちに観ておいた方がいいですよ。

オススメ度

(★★★★)4/5

こんな人にオススメ

マイケルムーアの映画が好きな人
・政治に疎い人
ドナルド・トランプが好きな人