東京映画日記

主に映画のレビューについて書きます。

一人で見ちゃったけど面白かったよ。オリジナル作品未見の目線で語るリメイク版映画「サスペリア」感想

映画「サスペリア」感想

一人で見ちゃったけど面白かったよ。オリジナル作品未見の目線で語るリメイク版サスペリア

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作品データ

原題 Suspiria 製作年 2018年 製作国 イタリア・アメリカ合作 配給 ギャガ 上映時間 152分 映倫区分 R15+

スタッフ

監督 ルカ・グァダニーノ
製作 マルコ・モラビート ブラッドリー・J・フィッシャー ルカ・グァダニーノ デビッド・カイガニック シルビア・ベンチュリーニ・フェンディ フランチェスコ・メルツィ・デリル ウィリアム・シェラック ガブリエレ・モレッティ カルロ・アントネッリ
製作総指揮 キンバリー・スチュワード ローレン・ベック ジョシュ・ゴッドフリー ステラ・サビーノ ジェームズ・バンダービルト ロベルト・マンニ マッシミリアーノ・ビオランテ
脚本 デビッド・カイガニックオリジナル
脚本 ダリオ・アルジェント ダリア・ニコロディ
撮影 サヨムプー・ムックディープロム
美術 インバル・ワインバーグ
衣装 ジュリア・ピエルサンティ
編集 ウォルター・ファサーノ
音楽 トム・ヨーク
音楽監修 ロビン・アーダン

キャスト

ダコタ・ジョンソン スージー・バニヨン
ティルダ・スウィントン マダム・ブラン
ミア・ゴス サラ
クロエ・グレース・モレッツ パトリシア
ルッツ・エバースドルフ ジョセフ・クレンペラー
ジェシカ・ハーパー アンケ
アンゲラ・ビンクラー
イングリット・カーフェン
エレナ・フォキーナ
シルビー・テステュー
レネ・ソーテンダイク
クリスティーン・ルブット
ファブリツィア・サッキ
マウゴーシャ・ベラ

解説

映画史に名を刻むダリオ・アルジェントの傑作ホラーを、「君の名前で僕を呼んで」のルカ・グァダニーノ監督が大胆にアレンジし、オリジナル版とは異なる視点から新たに描いた。1977年、ベルリンの世界的舞踊団「マルコス・ダンス・カンパニー」に入団するため、米ボストンからやってきたスージー・バニヨンは、オーディションでカリスマ振付師マダム・ブランの目に留まり、すぐに大きな役を得る。しかし、マダム直々のレッスンを受ける彼女の周囲では不可解な出来事が続発し、ダンサーたちが次々と謎の失踪を遂げていく。一方、患者だった若きダンサーが姿をくらまし、その行方を捜していた心理療法士のクレンペラー博士が、舞踊団の闇に近づいていくが……。「フィフティ・シェイズ」シリーズのダコタ・ジョンソンほか、ティルダ・スウィントンクロエ・グレース・モレッツら豪華女優陣が共演。イギリスの世界的ロックバンド「レディオヘッド」のトム・ヨークが映画音楽を初めて担当した。撮影はグァダニーノ監督の前作「君の名前で僕を呼んで」に続き、「ブンミおじさんの森」などで知られるタイ出身のサヨムプー・ムックディープロム。

映画.com imdbより引用


予告編

[鑑賞データ]

1/28(月)20:00 TOHOシネマズ新宿にて字幕版を鑑賞しました。

客席はほぼ8割くらいでした。

テーマ「転移」

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映画.comより引用

 

hulu

ネタバレあらすじ・感想

※今回のレビューは映画「ヘレディタリー 継承」のネタバレに少し触れていますので、まだ観てない方はそちらを先に見た方がいいかも。



オリジナルの方のサスペリアは未見です。
なので、オリジナルと本作の対比は語れないんですが、それでもすごく楽しめました。
あと、映画評論家の町山智浩さんの解説が素晴らしかったのとyoutubeにオフィシャル動画が上がっているので、真面目な評論はそちらをチェックしていただくといいと思います。



お話は6幕+1エピローグで構成されています。
ざっくりネタバレしながら説明すると、アメリカで生まれたスージーは、子供の頃からなぜか憧れたドイツのマルコス舞踊団に努力の末入団が決定します。
憧れのダンサーだったマダムブランに見出されて、さらに主役に空きが出たので主役の座をゲットします。
でも、このバレエ団の周囲で不可解な行方不明や死亡事故が起こっていて、それを訝る警察と精神分析医のクレンペラードイツ国内もテロが起こってものものしい様子。
舞踊団の建物の中では怪しげな儀式の後や、仲良くなったサラが前に仲が良かったパトリシアの失踪、次々にいなくなっていく同僚、怪しげなマルコス舞踊団の幹部のおばさんたち。
スージーは疑問を持ち儀式に使われたアイテム「フック」をクレンペラーに渡します。
そうこうしていると、公演の日になりクレンペラーも駆けつけます。
サラが出演直前にいなくなるのですが、サラ抜きで公演は行われますが上演中に戻ってきます。
しかし、魔女たちに脚を一度折られて無理やり直されているので舞台上で転倒し、舞台は中止となります。
翌日、すっかり舞踊団の顔となるスージー。同じ頃大戦中に生き別れになり死んだと思っていた妻アンクが急にクレンペラーの元に現れますが、それは罠で舞踊団の暗い部屋に全裸で押し込められます。
部屋ではトランス状態になった舞踊団メンバーが総出で儀式が執り行われています。この舞踊団は魔女の集団でした。
そしてこの集団のリーダーであるマルコスの新しい肉体としてスージーが選ばれていたのです。
ブランは止めようとしますが、首の後ろをやられて大量出血し、行動不能になります。
そして、ブランはスージーの体を乗っ取ろうと体を開きます。しかしスージーの中に別のものが入り自分は魔女のマザーサスペリオルムであることを告げ、この腐敗したマルコス舞踊団を正しく導きにきたことを宣言します。恐れおののくマルコスやマルコス支持派の魔女たちを次々惨殺するスージー、その後マルコスの犠牲となったサラやパトリシアなどには安らかな死を与えて儀式は終了しました。
翌日何もなかったかのように、レッスンを開始するダンサーたち、昨日の記憶は何も残っていない様子です。そして、マダムブランが舞踊団を去ったことが皆に伝えられます。
クレンペラーは自室のベッドで目が覚めます。
そこにスージーが現れて、アンクが死んでしまったのは自分の罪だと悔いるクレンペラーを癒し、昨晩起こったことの記憶とともに消し去ります。
そして現代、クレンペラーとアンクが暮らしていた家は幸せそうな家族が住んでいる様子が映されていました。

入れ物としての存在

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映画.comより引用

2018年末に観た映画「ヘレディタリー 継承」に少し似ているところがあるなぁというのが最初の感想でした。
何かの入れ物として生まれ、入れ物になるまで成長してあとは体を明け渡すという流れが、似ていますね。
僕の感想はこんな感じ

本当はクレンペラーが主人公?

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映画.comより引用

あらすじは一応スージー目線で書いてみたんですが、クレンペラーを主人公として書いていくことも出来たと思います。
結局謎だった生き別れになった妻がその後どうなったのかを魔女との交流によって知ることが出来たという男の話に。
このクレンペラーというキャラクターですが、ルッツ・エバースドルフという俳優がクレジットされていて、公式にはこの俳優の略歴のようなものもありますが、実はマダムブラン役のティルダ・スウィントンが演じているみたいですね。

マルコスの見た目

ナチスや当時のドイツ国内の政治運動などわかっていないとわけがわからないところが多い映画なんですが、個人的にマルコスのルックスがあのメタルゴッド「オジー・オズボーン」にそっくりだったのは、わざとなのかそれとも、悪魔的なもののオマージュとして使ったのかは是非監督に誰か聞いてもらいたいものです。

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imdbより引用

実はこのマルコスもまた、ティルダ・スウィントンが演じているようです。

おばさんが集団になったときのやな感じ

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imdbより引用

マルコス舞踊団は全員女性ですが、幹部の魔女たちは皆おばさんです。 この近所のおばさんの井戸端会議感というか、婦人会感て結構怖いですよね。だって絶対人の悪口言ってると思いますし、情報が伝わる速さとか勘の良さとか魔女としか思えないおばさんて多いですよね。

その他

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imdbより引用

このシーンでつい志村けんのコントを思い出したのは僕だけでしょうか?

関連

オリジナル版です。中古しかないってことは絶版なのか?

 

これをチェックすれば全部わかりそうですね。

 

ルカ・グァダニーノ監督はこの作品で知りました。

 

 

まとめ

観た後に歴史的背景など色々勉強してから再度観ると、より深くこの映画についてわかると思います。予備知識がないと結構わけがわからないのかも。。

オススメ度

(★★★★)4/5

こんな人にオススメ

・前作が好きな人
・魔女とか儀式的なものが好きな人
・歴史を勉強しながら映画を観る好きな人

村上春樹氏のファンは必見かも。映画「バーニング 劇場版」ネタバレ感想

映画「バーニング 劇場版」感想

村上春樹氏のファンは必見かも。

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作品データ

原題 Burning 製作年 2018年 製作国 韓国 配給 ツイン 上映時間 148分 映倫区分 PG12

スタッフ

監督 イ・チャンドン
製作 イ・ジュンドン イ・チャンドン
原作 村上春樹
脚本 オ・ジョンミ イ・チャンドン
撮影 ホン・ギョンピョ
美術 シン・ジョムヒ
衣装 イ・チュンヨン
音楽 モグ

キャスト

ユ・アイン イ・ジョンス
ティーブン・ユァン ベン
チョン・ジョンソ シン・ヘミ

解説

シークレット・サンシャイン」「オアシス」で知られる名匠イ・チャンドンの8年ぶり監督作で、村上春樹が1983年に発表した短編小説「納屋を焼く」を原作に、物語を大胆にアレンジして描いたミステリードラマ。アルバイトで生計を立てる小説家志望の青年ジョンスは、幼なじみの女性ヘミと偶然再会し、彼女がアフリカ旅行へ行く間の飼い猫の世話を頼まれる。旅行から戻ったヘミは、アフリカで知り合ったという謎めいた金持ちの男ベンをジョンスに紹介する。ある日、ベンはヘミと一緒にジョンスの自宅を訪れ、「僕は時々ビニールハウスを燃やしています」という秘密を打ち明ける。そして、その日を境にヘミが忽然と姿を消してしまう。ヘミに強く惹かれていたジュンスは、必死で彼女の行方を捜すが……。「ベテラン」のユ・アインが主演を務め、ベンをテレビシリーズ「ウォーキング・デッド」のスティーブン・ユァン、ヘミをオーディションで選ばれた新人女優チョン・ジョンソがそれぞれ演じた。第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、国際批評家連盟賞を受賞。

映画.com imdbより引用


予告編

[鑑賞データ]

2/2(土)15:55 TOHOシネマズシャンテにて字幕版を鑑賞しました。

客席はほぼ満席でした。

テーマ「俺の愛」

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映画.comより引用

 

hulu

ネタバレあらすじ・感想

原作とNHK放映分は未見。
なんとなく、それほど大きな動きはなく、セリフも少なく、情景と行間で考えてくださいという類の映画と感じました。それって僕が村上春樹作品に抱く感想と同じなんですよね。
イ・チャンドン監督作品も本作が初めてのウォッチでしたが、村上春樹の作品性を自然に描いていたと思います。
だからハルキストの方はすごく面白いと感じるかもしれませんね。



お話は、大学の文芸創作学科を卒業して兵役を終えた小説家志望の主人公ジョンス(ユ・アイン)は、運送会社のアルバイトをしています。
ある日商品韓国のドンキ的なお店に商品を納入した際に、肌を露出した制服で呼び込みをしている女性に声をかけられます。知らない女性に親しげに話しかけられ困惑していると、幼馴染のヘミ(チョン・ジョンソ)であることがわかりました。顔がわからなかったのは整形したせいかな?とあけっぴろげに言うヘミ。
その夜、再会を祝って二人で飲みに行くことになります。
そこで昔話に花を咲かせたり、ヘミがやるパントマイムを見たりしていると、ヘミから今度アフリカに旅行に行くから飼っている「ボイル」という名の猫の世話をしてもらえない?というお願いをされます。頼られて悪い気がしないジョンスは引き受けることにしました。
そのまま飲んでいるとヘミは店で眠ってしまいました。
後日、ジョンスはヘミの家を訪ねると猫の姿はありません。
人見知りで知らない人が来ると隠れちゃうのよとヘミは意に介さず餌の場所やあげ方を説明します。
するとヘミは地元にいた頃ジョンスがヘミにかけたは言葉「ブス」しかないということを口走り、そのまま二人は体を交えます。
ある日、ジョンスの父親が逮捕され、実家の牛の面倒を見るものがいなくなってしまうため実家に帰ることを余儀なくされます。
実家は北朝鮮との軍事境界線があるパジュ市で、のどかな田園風景ですが日中は北朝鮮側のスピーカーから北朝鮮の主義を喧伝する放送が流されています。
父親は暴力的な人らしく、そのせいで母親は随分前に出て行ってしまっており、姉も結婚して嫁いでいるのでジョンスは実家で一人暮らすことになります。
牛に餌をやり実家から、オンボロトラックに乗ってソウルまで猫のえさやり戻ると相変わらず猫は姿を見せません。
しかし、餌はなくなっていたのでおそらくいることはいるんでしょう。
餌をまた設置しトイレを掃除して作業を終えると、ヘミを思い出してヘミの部屋で自慰行為に耽るジョンス。
餌やりをやりだしてからしばらく経ったある日、いつもと同じように餌をやっているとヘミから電話がかかってきます。
テロがあって3日動けなかったけど、やっと帰れて明日空港に着くから迎えにきてくれないかという電話でした。
翌日ヘミを空港に迎えに行くと、見知らぬ男を連れていました。
聞くと男はベン(スティーブン・ユァン)と言い、テロの時に韓国人が他にいない中、励ましあって過ごしていた戦友だと言います。
二人きりになれると思っていたのに出鼻をくじかれたジョンスは、少しがっかりした表情を浮かべますが、ヘミとともにベンも送ろうとオンボロトラックを走らせます。
すると、これから鍋を食べに行くのでジョンスも来ないかと誘われます。
アフリカでの思い出話をヘミから聞きつつ飲んでいると、ヘミはまた店で眠ってしまいます。
ジョンスとベンが二人で話をしていると、ベンに電話がかかってきて離席した際にベンは支払いを済ませていました。
外に出るとベンのポルシェが停まっており、男に礼を渡します。ここからは自分のポルシェで帰るというので、トラックからベンの荷物を下ろしポルシェに積み込みます。
ベンはヘミに送っていこうか?と告げると、遠慮したジョンスはヘミに「ポルシェで送って行ってもらえよ」と言ってしまいます。
ヘミはベンと帰ることを選んでしまいました。
何日か経ってから、ヘミからの電話でカフェに行くとそこにはベンがいます。
すっかり恋人のようになったヘミとベンにジョンスはまた微妙な表情を浮かべますが、そのままジョンスの富裕層の知り合いとの飲み会に参加します。
ヘミは自分の体験を語り、体を使って原住民の踊りを再現するのですが、金持ち連中は一見話を聞いているようでいて内心馬鹿にしている様子。
ベンもあくびをしています。
若く何の仕事をしているのかがわからないベンの金持ちぶりにすっかりジョンスは気後れしてしまいます。
後日、牛の世話をしているとまたヘミからの電話がかかってきます。
ベンがジョンスとヘミの地元を見たいからこれから来るというのです。
庭でベンが用意したワインを飲んだり大麻を吸っていると次第にあたりは夕暮れになります。やおらヘミは上半身裸になり踊りだします。
次第にあたりは暗くなり、ヘミは眠ってしまいます。
ジョンスはここで初めてヘミのことを愛していることをベンに告げます。
それを一笑に付したベンはある告白を始めます。
それは、ビニールハウスを燃やすということを前から繰り返しているという告白でした。
「役立たずで汚れたビニールハウスは僕に焼かれるのを待っているような気がします」
そして、ジョンスの近くでも燃やす予定のビニールハウスを見つけて数日のうちに実行に移す今日は下見に来たという話でした。
ベンが帰る際に、ヘミにジョンスは人前で裸になるなと初めて怒りを見せますが、ヘミは何も答えずベンとともに去ります。
その日からジョンスは家の近くのビニールハウスを見張り始めます。
しかし、ビニールハウスが燃えたというニュースは一向になく、ヘミとも連絡が取れなくなります。
ヘミの家に行ってみると鍵の暗証番号が変わっていて、大家に開けてもらうと部屋は整頓されていて誰もいません。
そしてスーツケースも置いたままなので旅行に行っているわけではなさそうです。
ビニールハウスを見張るが何も起こらない日々が過ぎていったある日ヘミから電話が入ります。
助けを求めるような内容でしたが、そのまま切れてしまいました。
業を煮やしたジョンスはベンに会いに行きます。他の女性と会っているベンに、ビニールハウスが燃えていないこと、ヘミと連絡が取れないことなど告げると、ヒントのようなものを与えられますがわかりません。
後日ベンを尾行するジョンスは、ベンに見つかりホームパーティに招かれます。
すると最近飼いだしたという猫が逃げ出したので、地下駐車場に探しに行きます。
猫を見つけたジョンスは猫が逃げないようにそっと近づきます。その時おもむろにジョンスは「ボイル」という名で呼んでみます。
すると、猫はジョンスの元に近づいてきました。
この時ジョンスはある疑念を抱き、その後のパーティで全てを悟りました。
ある雨の日にジョンスはベンを呼び出し刺殺します。
といった話です。

 

登場人物

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映画.comより引用

主人公 イ・ジョンス(ユ・アイン)
大抵口が半開きで、基本的にボンクラだと思います。



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映画.comより引用

ヒロイン シン・ヘミ(チョン・ジョンソ)
整形で美人になっていますが、基本的にいわゆるメンヘラっぽいとこがあり、彼女の母親や姉によれば虚言癖もありです。
若いアーティストとかこういう娘が好きな人多い気がする。



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映画.comより引用

主人公の恋敵 ベン(スティーブン・ユァン)
仕事は不明だが、若くして金持ちになった実業家。
今回はゾンビは倒しません。



メタファーなど

村上春樹の原作短編「納屋を焼く」を読んだり、NHKで放送されたバージョンをみている人はもっと深いところまでわかっていそうですが、こちとらこの作品単体の評価しかできないんですが、わかりやすいメタファーとしてビニールハウスは女性のことなんでしょうね。
あと、調べると主人公ジョンスの好きな作家としてウイリアム・フォークナーが出てきますがウイリアム・フォークナーの作品で「納屋は燃える」という作品があるらしく、そちらに近いテイストという意見もネットで見ましたので、読んでみたいですね。

若く貧しく何者でもない人間

この気持ちって夢を持って都会などに出て行き、成功者を目の当たりにしてなおかつ好きな人をそんな成功者に持ってかれた経験のある人は痛いほどわかりますよね。
今すぐには為す術のない状態の悔しさや悲しさは、感情表現をあまりしないジョンスから逆に強く伝わってきました。
あと、自信のなさや人生を何一つコントロールすることができず、茫然自失になってしまう様は若い頃の自分と重ね合わさって胸が締め付けられました。
だからって最後の行動はダメですけどね。

関連

原作です。僕も読んでみます

 

イ・チャンドン監督作品です。

 

ティーブン・ユアンはやっぱりこの作品だと思います。

 

 

まとめ

若く貧しくルサンチマンを溜め込んでるかたは結構精神的ダメージをくらう作品だと思います。

オススメ度

(★★★)3/5

こんな人にオススメ

イ・チャンドン監督作が好きな人
村上春樹が好きな人
・金持ちに対する屈折した感情を持つ人

シャマラン映画なので、ネタバレ嫌だったら映画を観てから読んでください!映画「ミスター・ガラス」感想

映画「ミスター・ガラス」感想

シャマラン映画なので、ネタバレ嫌だったら映画を観てから読んでください!

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作品データ

原題 Glass 製作年 2019年 製作国 アメリカ 配給 ディズニー 上映時間 129分 映倫区分 G

スタッフ

監督 M・ナイト・シャマラン
製作 M・ナイト・シャマラン ジェイソン・ブラム マーク・ビエンストック アシュウィン・ラジャン
製作総指揮 スティーブン・シュナイダー ゲイリー・バーバー ロジャー・バーンバウム ケビン・フレイクス
脚本 M・ナイト・シャマラン
撮影 マイケル・ジオラキス
美術 クリス・トゥルヒージョ
衣装 パコ・デルガド
編集 ルーク・シアオキ ブル・マーレイ
音楽 ウェスト・ディラン・ソードソン
音楽監修 スーザン・ジェイコブス

キャスト

ブルース・ウィリス デヴィッド・ダン(アンブレイカブル
サミュエル・L・ジャクソン イライジャ・プライス (ミスター・ガラス)
ジェームズ・マカボイ ケヴィン・ウェンデル・クラム (ビースト)
アニヤ・テイラー=ジョイ ケイシー・クック
スペンサー・トリート・クラーク ジョセフ・ダン
シャーレイン・ウッダード ミセス・プライス
サラ・ポールソン ドクター・エリー・ステイプル

解説

M・ナイト・シャマラン監督がブルース・ウィリスサミュエル・L・ジャクソン共演で送り出した「アンブレイカブル」のその後を描いたサスペンススリラー。同じくシャマラン監督作でジェームズ・マカボイ主演の「スプリット」とも世界観を共有する。フィラデルフィアのとある施設に、それぞれ特殊な能力を持つ3人の男が集められる。不死身の肉体と悪を感知する力を持つデヴィッド、24人もの人格を持つ多重人格者ケヴィン、驚くべきIQの高さと生涯で94回も骨折した壊れやすい肉体を持つミスター・ガラス。彼らの共通点は、自分が人間を超える存在だと信じていること。精神科医ステイプルは、すべて彼らの妄想であることを証明するべく、禁断の研究に手を染めるが……。「アンブレイカブル」でデヴィッドを演じたウィリス、ミスター・ガラスを演じたジャクソン、「スプリット」でケヴィンを演じたマカヴォイが同役を続投。

映画.com imdbより引用


予告編

[鑑賞データ]

1/21(月)20:10 TOHOシネマズ新宿にて字幕版を鑑賞しました。

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客席はほぼ満席でした。

テーマ「信じればそれは必ず存在する」

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映画.comより引用

 

hulu

ネタバレあらすじ・感想

※今回はシリーズ3作目なので、1作目「アンブレイカブル」2作目「スプリット」のネタバレにも触れています。未見でネタバレしたくない方は3作品とも見てからお読みください。






前作の衝撃的な「実はシリーズ物2作目でした。3作目も作ってるからお楽しみに〜」エンディングからずっと楽しみにしていましたが、今回もシャマラン風味が効いた面白い作品でしたよ。



前作からしばらく経ったフィラデルフィア、今日も地道に雨ポンチョ(水が弱点のため)でヴィジランテ活動に勤しむデヴィッドさんA.K.A.アンブレイカブルブルース・ウィリス)は、街で誘拐事件が発生していることを前作のニュースでチェックしていました。
本作になり、どうも同じ犯人がまた誘拐事件を起こしたらしいので成長した息子ジョセフと創作に乗り出します。
一方その頃、ケヴィンさんA.K.A.ビースト(ジェームズ・マカヴォイ)の元にはチアリーダーが四人拘束されていました。それはケヴィンの人格の一人ビーストが腹をすかせたため、食料として誘拐された四人でした。
デヴィッドはその現場を息子の協力のもと発見し、救出しようとするとビーストに発見され戦いになります。
ビーストは初めて出会う自分と同じパワーを持つ人間に驚くきますが、もみ合いは続き誘拐された4人は無事脱出に成功します。すると突如現れた謎の武装集団に、デヴィッドとケヴィンは拘束されてしまいます。
目覚めたところは、精神病院で精神科医ドクター・ステイプル(サラ・ポールソン)がある証明のために集められたことを告げます。
それは、「この世にスーパーパワーなど存在しない」という証明のために「自分がスーパーヒーローだと信じているもの」を拘束したということでした。
実は、ドクター・ステイプルはただの精神科医ではなくスーパーパワーを否定し、「この世に存在しないもの」とするために暗躍する組織の人間でした。
捕まった二人の他にも、もう一人捕らえられていて、それが1作目「アンブレイカブル」でデヴィッドにスーパーパワーを持っていることを気づかせ、そのヒーローの敵役となったイライジャさん A.K.A.ミスター・ガラス(サミュエル・L・ジャクソン)でした。しかし、薬を投与されているせいか、自分で思考できていない朦朧とした様子ですが、非常に警戒されている様子。
ドクター・ステイプルのありとあらゆる論破により、次第に自分のパワーについて疑いを持つデヴィッドとケヴィンでしたが、天才的頭脳を持つミスター・ガラスはその力を世間に示すための準備を着々と進めていました。
力を誇示するためにもう一度アンブレイカブルと戦いたいビーストは、ミスター・ガラスの巧みな話術に従い、脱走の手引きをします。
そして、同じように脱出したアンブレイカブルと対峙します。その様子は、本物のスーパーパワーを持つもの同士の戦いそのものでした。
しかしすぐに組織の人間が登場し、弱点がバレていますので、アンブレイカブルは水で溺れさせられ、ビーストはケヴィンに戻った(普通の人間に戻った)ときに銃撃され、殺されてしまいます。ミスター・ガラスは二人の超人が生まれるきっかけになった事故の原因は自分であることを告げたときに、激昂したビーストにより殺されます。
超人の存在をこの世に知らしめたいというミスター・ガラスの計画は潰えたかに思われました。
しかし、その戦いの様子は監視カメラに映されていて、それがすぐに世界中に配信されました。
かくして、ミスター・ガラスはその命と引き換えに自分や他のスーパーパワーを持つ人々の存在を世界に知らしめることに成功したのです。



素晴らしい能力は実在する

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映画.comより引用

この映画を見たとき思い出したのがラッパーのPUNPEEさんのHEROという曲ですね。
このアルバムの最後の曲なんですがyoutubeに上がってなかったのでアルバムを貼っておきますね。(超名盤です)


そのHEROって曲の元になったのはこのアメコミらしいんですが

スーパーヒーローってのは昔本当にいたけどヴィランとの戦争があって、ヒーロー側が全滅しちゃってヴィラン側に人々はその記憶を消されたけど、ヒーローがいたときのことをギリギリ覚えている人がアメコミを作っているみたいな設定のようで、僕は未読ですが今度読んでみようと思います。

で、ミスター・ガラスの世界だけではなくスーパーヒーローを隠したい存在ってのは既得権益者で、自分たちよりすごい存在を否定したい(だってそんな存在が出てきたら権力の座を取って代わられちゃうかもしれない)から、ありとあらゆる手を使ってその存在を否定したいんだと思います。そうやって自分の力を否定し、平凡に生きる人々として全てをコントロールしようとしてるんだと思います。
でも、自分の能力は優れているということを強烈に自覚しているミスター・ガラスはついにその存在を命と引き換えに世界に示すことができました。(ただ、そのために人の命をたくさん奪ってますけどね。。。)
だから、きっとこの映画に込められたメッセージは「すごい力を持つ人は存在するし、それは私でありあなたなんだ」ということが言いたいんじゃないかなーと思ったりしました。

やっぱりジェームズ・マカヴォイの多人格演技は圧巻

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映画.comより引用


みていて一番笑ったのは、ミスター・ガラスが施設から脱出するためにビーストと手を組むんですが、どうしても施設の職員の近くを通らなきゃいけない時に、ビーストに別人格を呼び出してもらいます。(だってビーストは社交性ゼロだし)で、出てきたのがパトリシア(女性。おそらく中年。)なんですが、いくら中身は女性でも見た目はゴツいおっさんなので、女装してもバレるって!というところが一番笑えました。
あと、別人格のヘドウィグ(歌とダンスが大好きな9歳の男の子)が前作ではカニエ・ウエストが好きで今作ではドレイクが好きになっていたのも笑えましたね。

秘密組織について

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映画.comより引用

上で、いい解釈を書いていたんですが、それとは違う視点でこの映画を見てみたんです。
あの組織の人間は三つ葉のクローバーのタトゥーを入れていますね。
四つ葉なら縁起を担いでんのかなーとか思いますが、三つ葉はまずアイルランドの国花らしいんですが、それはあんまり関係なさそうだし、アーリアン・ブラザーフッドていうギャング集団も三つ葉のクローバーのタトゥーを入れてるけど、それも関係なさそうだし、あとキリスト教的には「三位一体」という意味もあるけどなんかピンとこないなぁと思っていたら、なんと花言葉が「復讐」。
ということは、「親族を超人に殺された人々」または、「親族が超人同士の戦いに巻き込まれて亡くなった人々」がもう二度とそんな存在が出てこないように作った集団。。。なわけねーかー。。。

関連

シリーズ1作目「アンブレイカブル」です。当時見たときすげー変な映画だなーと思ったことを覚えてます。

 

こちら2作目の「スプリット」です。ビーストが誕生する話です。

 

シャマラン映画で一番好きなのはこれです。

 

 

まとめ

シャマランらしい映画であることはもちろん、さらにアメコミ大好きなんだろうなぁというのも伝わってくる面白い映画でした。

オススメ度

(★★★★)4/5

こんな人にオススメ

・シャマラン好きな人
・シリーズを観ている人
・自分にはなんの才能もないと思っている人