東京映画日記

主に映画のレビューについて書きます。

愛しのアイリーン

田舎出身だと最高にゲンナリな映画<ちょっとネタバレかも>

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作品データ

製作年 2018年 製作国 日本 配給 スターサンズ 上映時間 137分 映倫区分 GR15+

監督 吉田恵輔 原作 新井英樹 脚本 吉田恵輔 企画 河村光庸 製作 河村光庸 瀬井哲也 宮崎伸夫 エグゼクティブプロデューサー 河村光庸 岡本東郎 プロデューサー 佐藤順子 行実良 飯田雅裕 アソシエイトプロデューサー 市川尚三 ビアンカバルブエナ 長井龍 撮影 志田貴之 照明 斉藤徹 録音 川本七平 美術丸尾和行ヘアメイク橋本申二 岩谷友子 スタイリスト 小磯和代 音楽 ウォン・ウィンツァン主題歌 奇妙礼太郎 助監督 松倉大夏 キャスティング おおずさわこ 制作担当 三村薫 松川浩 ラインプロデューサー 古賀奏一郎

キャスト

安田顕 宍戸岩男
ナッツ・シトイ アイリーン・ゴンザレス
河井青葉 吉岡愛子
ディオンヌ・モンサント マリーン
福士誠治 正宗
品川徹 宍戸源造
田中要次 竜野
伊勢谷友介 塩崎裕次郎
木野花 宍戸ツル

解説

「ワールド・イズ・マイン」「宮本から君へ」など社会の不条理をえぐる作品で知られる新井英樹が、国際結婚した主人公を通して地方の農村が内包する問題を描いた同名漫画を実写映画化。新井の漫画が映画化されるのはこれが初めてで、安田顕が主演、「ヒメアノ~ル」の吉田恵輔監督がメガホンを取った。42歳まで恋愛を知らず独身でいた岩男が、久しぶりに寒村にある実家に帰省する。しかし、実家では死んだことすら知らなかった父親の葬式の真っ最中だった。そんなタイミングで帰ってきた岩男がフィリピン人の嫁アイリーンを連れていったため、参列者がざわつき出し、その背後からライフルを構えた喪服姿の母親ツルが現れる。安田が主人公の岩男を演じ、アイリーン役にはフィリピン人女優のナッツ・シトイを起用。そのほか木野花伊勢谷友介らが出演。

映画.comより引用


予告編

[鑑賞データ]

TOHOシネマズ シャンテにて鑑賞しました。

客席は5割くらい。

テーマ「あんたの愛だとか幸せだとかと、こっちのは違うんだよ」

愛聴しているアフター6ジャンクションの課題映画になったので観に行って来ました。

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(映画.comより引用)

原作は未読です。ムービーウォッチメン宇多丸師匠によると、同じ吉田恵輔監督の「ヒメアノ〜ル」は原作を大きく改変していたが、本作はほぼ原作に忠実だったらしいので、心底嫌な漫画なんだろうなぁと思いました。(いい意味で)

 

物語は日本のとある寒村(ロケ地は新潟のようですが言葉遣いが東北の方だったような。。)が舞台ですが、私も同じような田舎で育っているので、田舎特有の嫌な感じ(もちろんいいとこもありますよ)が全開に醸し出されていて、特にこの物語には現代的な考え方をできる人間は一人もいないので、観ていて本当に気分が悪くなる人もいると思います。でも面白かった。

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(公式サイトより引用)

吉田恵輔監督作品は前述した「ヒメアノ〜ル」と「犬猿」を観ているのですが、基本ガサツな人の下品さや不謹慎なところを、ブラックな笑いに変えるのが上手い監督だと思います。 少なくとも私が観た3作とも割とバイオレントな描写はありますが、劇中かなり声を出して笑えるところがあります。

 

登場人物は「人生に迷って間違った方に進む人」「確信を持って悪い道に進んでいる人」「自分は正しいと思い込んでる人」など、おしなべて正しくない人たちばかりが出て来ます。
このあたりの解説は映画評論家の町山智浩さんの解説が素晴らしいので、その辺をチェックするといいと思います。

とにかく演じている役者さんたちの演技巧者ぶりに目を見張ります。 特にアイリーン役のナッツ・シトイさんの感情表現はかなりすごくて、

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(公式サイトより引用)

監督インタビューでナッツさんがオーディション会場に入って来た時即決したというだけあって、素晴らしい演技でした

 

またうだつの上がらない独身中年男の主役「宍戸岩男」役の安田顕さんと、その母親a.k.aクソババア「宍戸ツル」役の木野花さんの怪演も見所で

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(公式サイトより引用)

田舎の「家を継ぐ」という風習とか、「後継ぎがいい歳して結婚してない」「情けない」とか正直「いつの時代だよ?」と言いたくなるし、その嫌な感じを地元で少し味わったことがあるだけに、その辺りの嫌な感じが本当にリアルに描かれていると思います。(しつこく言いますがこんな田舎だけではないですし、この映画はもちろん特殊な例だと思います。)

 

ただし、そのような嫌な雰囲気だけではなく、言葉が通じない中でも確かに「心が通じた瞬間」の描写の美しさや、「覚悟を持った人間の凄み」など、この映画を実際に観て観ないと伝わらない魅力に溢れた作品でした。

まとめ

独りよがりの愛だとか幸せではなく、今目の前にいる相手を大切にした方がいいんじゃない?

オススメ度

(★★★★★)5点満点中

こんな人にオススメ

・35歳以上の独身の人
・結婚前の若い女
・自分の視野は広いと思っている人